エコノミークラス症候群の症状と原因/エコノミークラス症候群に...

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『エコノミークラス症候群』の原因は、水分と足の運動不足

長時間同じ姿勢で座っていると血栓ができる!?別名、旅行者血栓症

エコノミークラス症候群の症状と原因/エコノミークラス症候群になりやすい人/エコノミークラス症候群にならないために

みなさんは、ニュースなどで「エコノミークラス症候群」という名前を聞いたことがありますか?4~5年前から話題になり始めた症状で、昨年の新潟の中越地震でも車の中で避難生活を送っていた方が、これにによって亡くなられたそうです。

今回はこのエコノミークラス症候群の症状と原因、予防策について取り上げてみたいと思います。

エコノミークラス症候群の症状と原因

エコノミークラスとは、みなさんもご存じの飛行機のエコノミークラスのこと。

長時間、座席に同じ姿勢のまま座ったままでいると、足の血管に少しずつ血液がたまり、ひざの裏や太ももの奥にある静脈に血のかたまり(深部静脈血栓)ができます。

血栓ができることですぐに命に関わるわけではありませんが、危険なのはこの血栓が血流に乗って肺に流れ込んでしまうケースです。

では、血栓ができる具体的な原因と過程について見てみましょう。

飛行機の場合は特に内部の空気が乾燥しているため、1時間に約80ccもの水分が体内から失われていきます。12時間同じ姿勢をとり続けていれば、約1リットルもの水分が失われることになります。血液は成分の9割が水分なので、体内の水分を失うことで血が固まりやすくなります。この固まった血液が血栓と呼ばれています。

座席に座っている状態ではひざの裏など、特に血流が悪くなっている部分に血栓ができやすくなってしまいます。この血栓が血流に乗って肺まで流れ、肺の血管を塞ぐと呼吸ができなくなります。そのせいで心臓の機能が低下し、最悪の場合は死に至る。これが「肺血栓」と呼ばれる病気です。

これらの症状や原因を総称して、エコノミークラス症候群と呼ばれています。

ただし、エコノミークラスに限らず、同じ飛行機でもビジネスクラスやファーストクラス、バスや電車、車などに長時間乗っていても起こりうる症状なので「旅行者血栓症」と呼ばれることもあります。長時間同じ姿勢で座るという意味では、デスクワークや映画館、劇場などでもこの症状が起こる可能性は否めません。

エコノミークラス症候群になりやすい人

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)になりやすいのは、以下のような病気や症状を持っている人です。

・下肢静脈瘤
・手術後や骨折直後の人(血管に傷がついていることがある)
・血栓ができたことがある人、血管が傷みはじめている人
・中高年の人(過去の統計上40~50代の発症率が高い)
・肥満の人(脂肪が血管を圧迫し、血流が悪くなりやすい)
・経口避妊薬(ピル)を服用している人
・月経中、妊娠中、出産後の女性

命に関わることも十分にありえるので、心当たりのある人はあらかじめ海外旅行などに行く前には、医師の診断を受けておいた方がいいでしょう。

では、上記のような病気や症状を持っている人はもちろん、持っていない人も、エコノミークラス症候群にならないためにはどうすればよいのでしょうか。

エコノミークラス症候群にならないために

・水分をしっかり摂る

体内の水分が蒸発し、血栓ができるのを防ぐためには、しっかり水分を摂らなければなりません。人間に必要な水分量は体重1kgにつき1時間1mlと言われます。ということは、体重が50kgなら、1時間に最低50mlの水分を摂らなくてはなりません。特に、飛行機やエアコンの効いた場所では、多い目に摂るようにしてくださいね。ただし、この時の水分は、何でもよいというわけではありません。アルコールやコーヒー、紅茶などは利尿作用の高いものは避けましょう。

・カラダをこまめに動かす

場所も狭いので、あまり大きな動きはできませんが、最低1時間に1回くらいは少し離れたお手洗いに行ったり、伸びをしたり、ふくらはぎをマッサージしたりするようにしましょう。足にたまった血液も、カラダを動かすことで少しは流れるようになるはずです。 飛行機や新幹線など乗り物では、窓側の席に座っていると、ついつい通路側の人に遠慮してガマンしてしまいがちですが、それが命に関わる問題なら、そんなことは言ってられませんよね。 エコノミークラス症候群になりやすい人は、はじめから通路側の席に座っておいた方がよさそうです。後、足を組むと血行が悪くなるので、できるだけ組まないようにしてくださいね。

・ゆったりした服を着る

カラダを締め付けるような服装は、血液の流れも悪くします。ジーンズなどは避け、ベルトを緩めたり、ゆったりとした服装を選ぶようにしま しょう。

エコノミークラス症候群の症状が表れるのは・・・

エコノミークラス症候群の症状が表れるのは、飛行機内や空港に着いたときから旅行後一週間が多いようです。どちらかの足に、むくみや痛みが出た場合は、すぐに病院に行くようにしましょう。

また、足が痛いからと言って、整形外科で診察を受けると、歩き過ぎによる筋肉疲労という診断をされることもあります。エコノミークラス症候群の症状は、血管外科や循環器科の領域なので、長時間のフライトの後に足に痛みやむくみが出たということをはっきりと伝え、きちんと診断してもらうようにしましょう。

エコノミークラス症候群の予防は、そんなに難しいことではありません。せっかくの楽しい旅行で、そんな病気になることがないように、しっかりと予防策を取りましょう。

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