出産に立ち会って

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出産に立ち会って

昨年、妻の出産に立ち会った。
今思うと立ち会ったことは本当によかったと思う。

本当に寒い冬だった。
妊娠している状態が日常で、
出産するというリアルな想像もできず予定日が近づいていた。

早く出てこいよー、なんてお腹に向かって語りながら、
そこに人の存在までは感じきれずに毎日を過ごしていた。

そしてその日は突然やってきた。
仕事を終えて家に帰り、
いつものように食後に二人でテレビを見ていると、
妻がお腹が痛いと言い始めた。

「産まれるかも」

そう言った妻の言葉に動揺しながらも、
突然きたその瞬間にえもいわれぬ興奮を覚えたことを思い出す。


すぐに入院の支度をし、
産婦人科へ向かった。

深夜にもかかわらず、
さすがは産婦人科。
そのまま入院の運びとなり、
いざ臨戦態勢となった。

最初の晩は、
陣痛もまだ弱くすぐに産まれるという感じではなかった。

ただ、陣痛でつらそうにしている妻に付き添いながら、
寝ずに支えることに徹した。

そして、翌日、
まだ陣痛が弱かったので、
陣痛促進剤をいれることに。

少しずつ陣痛促進剤を足していくたびに、
本当に痛そうだった。

初めのころは、陣痛の合間に笑顔もあったのが、
15時間も過ぎると声をかけるのも気兼ねするようになる。

その大変な時に、
妻が言っていたことで心に残っていることがある。

「おなかの赤ちゃんは産まれるために一生懸命がんばっている。
 だから私もがんばらないと。」

そういって、
いつもは痛みに弱い妻が頑張っている姿を見て、
本当に感動した。

自分がまだ存在を実感できていないのに対して、
こんなに子どもの存在を感じているのは、
ずっとお腹の中で守り続けてきた母親だからこそだろう。


そんなこんなで
20時間を越える陣痛の中、
ついに産まれる瞬間がやってきた。

分娩室に入り、
医師と助産婦が駆けつけてくれた。

助産婦の指導を受けながら、
必死に力をいれ産もうとする妻。

ただただ、
手を握りながら、
心の中で頑張れ!頑張れ!と言いながら、
見守ることしかできなかった。

そして、
想像してたよりも小さな声で、
「オギャァ」
という泣き声が聞こえた。

涙が出た。

なんだかわからないが、
とにかく涙が出た。

初めての我が子を抱き、
分娩室を出ると、
妻の母がそこにいて、
目を合わせると二人でうるうるとしてしまった。

妻の母にとっては、
我が子の初の出産。
きっと気が気でなかっただろう。
体調不良の身体を起こして、
駆けつけてくれたことは本当に妻にとっても嬉しかっただろう。


こうして、
初めての出産に立ち会うことができた。
ありがたいことに、
最初の陣痛から産まれる瞬間まで見守ることができた。

出産は、
本当に何もしてやれない。

だけど、
その妻の一生懸命な姿を見て、
愛情という形の無いものが少し見えた気がする。

子どもは本当にかわいい。
母という偉大な存在と子を守れるように、
頑張って生きていきたいと思う。

 
体験談投稿者 匿名投稿者 投稿日 2008/08/02 00:21  

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