破水から出産まで。

36週目で行った検診では子宮口はまだ硬く、全く開いてないから、予定日も過ぎるかもと言われた。ベビーの大きさはもう3000gくらいになっていた。
ところが、その日は突然やってきた。
37週と6日目の夜。明日に検診に行こうと思っていたその日、珍しく旦那も早く帰ってきて、夕食を済ませて二人でのんびりテレビを見ていたら、何かが出てきた感じがした。
オリモノかな？と思ってトイレに行ってみると、もっとサラサラした液体で、もしや破水？まさかね～、なんて暢気に思ってたら、次から次へと液体が出てきて、フェイスタオルじゃ追いつかず、バスタオルで抑えるほどに。
これは破水に違いないと思って、病院に電話したら、入院の用意をしてすぐに来てください、と言われた。
今から入院するってことは、今日明日には生まれるってこと？？え～？！って感じで、出産はまだまだ先、と思っていたのに、あまりに突然すぎて実感が湧かなかった。旦那と一緒に浮き足立った気持ちで、でもすごく興奮しながら家を出た。家を出る時、「次にこの家に帰ってくる時には赤ちゃんも一緒なんだな」と思うと胸が熱くなった。

病院についてすぐに検査を受けた。破水してるけど子宮口は全く開いてなくて、まだ陣痛もなかった。とりあえず入院して明日の朝まで待つことに。でも破水したら羊水に雑菌が流れ込むため、48時間以内に産まなければならない。本当にいよいよ赤ちゃんに会えるんだと思うとドキドキした。

旦那も一緒に泊まってくれた。病室に入ってから間もなくして、陣痛がやってきた。10～5分間隔を行ったり来たりしてたけど、今思えばかなり弱い微弱陣痛で、笑って話もできたし、眠ることも食べることもできた。
翌朝の検診でも陣痛は弱いし、子宮口も開いてないため、陣痛誘発剤を投与することになった。効果的な点滴は子宮口が4cmは開いてないと使えないため、錠剤で1時間に1錠ずつ、6時間かけて飲む薬を出された。ただ陣痛を誘発する薬のため、うまく陣痛が乗ってきてくれればいいけど、ダメかも知れないとのことだった。

4回目の投与くらいから陣痛が強まってきた。上手く誘発されたらしい。痛いながらも今日中に赤ちゃんに会えるんだと思うと自然と笑みがこぼれた。
でも6回目の投与が終わった頃になっても子宮口はまだ1cmほどしか開いていないとのこと。もう陣痛が来てる間は痛くて会話ができる状態じゃなかった。このままひたすら陣痛に耐えて子宮口が開くのを待つだけになった。陣痛は時間を追うごとに強まるけど、間隔は短くなったり、長くなったりを繰り返し、子宮口は相変わらずなかなか開かない。数時間痛みに耐えて診てもらっても、子宮口は1cmずつしか開かなかった。

とにかく痛かった。会話も食事もできず、ただひたすら痛みに耐えた。いきんでしまうと赤ちゃんの頭がつぶれると聞き、いきみ逃しをするのが一番つらかった。痛いとどうしても力が入る。力が入るといきんでしまう。いきむと子宮口が猛烈に痛い。赤ちゃんも苦しいだろう。とにかく落ち着いて息をしっかりと吐くことだけに集中した。声に出るほど、息を吐き続けた。
痛い。苦しい。ツライ。でも赤ちゃんはきっと私よりももっともっとツライだろう。お腹の中でのんびりしてたのに、破水してしまったがために無理やり産まされようとしている。苦しいに違いない。
何度も何度も赤ちゃんにごめんね、ごめんねって心の中で謝った。ママも頑張るから、一緒に頑張ろうね。頑張って早く会いたいね、って何度も語りかけた。どんなに辛くても、赤ちゃんの方が苦しんでる。それでも赤ちゃんは頑張っていると思うと、底力が湧いてきて耐えられた。

遅くても今日中には赤ちゃんに会えるだろうと思っていたその日も過ぎ、朝食が運ばれてきた。さすがに食べることはできず、時間の感覚もわからず、眠気と襲い続ける陣痛で朦朧としていた。1時間が過ぎるのがすごく早く感じた。旦那も寝ずにずっと付き添っていてくれて、声をかけることも、笑顔を向けることもできなかったけど、すごく心強かった。

入院から36時間後の午前11時。ようやく子宮口が全開大に！待ちに待った「分娩室へ行きましょう」の声が！どうやって分娩室まで歩いていったのか覚えてないけど、とにかくようやく終わりが見えてきたことが嬉しかった。何より、あと少しで赤ちゃんに会える！
ところが、分娩台に上がった時から、陣痛が止まってしまった。軽い陣痛はあるものの、出産できるほどの有効陣痛ではなく、このままでは産めないと…。仕方がなく、点滴の陣痛促進剤を投与することになった。
その間、もういきんでいいよと言われたので、微弱ながらやってくる陣痛に合わせていきんでみる。ものすごく痛い…痛くて体が逃げてしまう。助産婦さんに「力の入れ方が逆！」と言われるが、逆と言われてもどうしていいのかわからず、よくわからないことばかり言う助産婦さんに多少の苛立ちすら感じた…。特に子宮に手を突っ込まれて、「こっちの方向にいきんで！」とされた時がめちゃくちゃ痛くて切れそうになったわ（苦笑）
その助産婦さんも、点滴の準備のためか、何も言わずに分娩室から出て行ってしまった。残された初産の妊婦とその夫。なすすべもなく、ちょっとでもいきんで赤ちゃんが出てしまったらどうしよう？！オレが取りあげるの？！と二人で大パニック。えー、何で誰もいないの～～？（涙）後から知ったことだけど、この日はやたらとお産が重なって、一気に6人もの赤ちゃんが生まれたらしい。で、先生も助産婦さんも忙しくてバタバタ…。

結局、分娩室に入ってから30分後、陣痛促進剤を投与。さすが点滴、効きが早い。みるみるうちにまた強い陣痛がやってきて、お産につながる有効陣痛に！いきみ方が逆と言われ続けたが、何度目かに「そうそう、いいよ！」とお褒めの言葉が。何が何だかわからないままにいきんでみる。
もう無理。もうダメ…。何度もへこたれそうになって、また奮起して…と繰り返して、さすがにもう無理だと思った時、先生が「あと1回で産まれるよ！」と。「あと1回でいいの？！じゃぁ頑張るわ！」と思ったことをよく覚えてるなぁ。（結局あと2回いきまないとダメだったんだけど。。）

促進剤を入れてから15分後。最後の力を振り絞っていきんだら、ふと痛みが和らいだ。と思ったら、ズルズルっと何かが出て行く感じがして、それと同時に「フンギャーフンギャー」と元気な声が！
やっと生まれた！やっと終わった！本当にホッとした、というのが最初の感想。で、隣にずっと付いててくれた旦那を見ると、すでに泣いてて、それにつられて涙が出た。「よく頑張ったな」と言われて、さらに涙が出た。
すぐに生まれたての赤ちゃんが私の胸の上に置かれた。あたたかくて、グチャグチャで、一生懸命いっぱい泣いて、それはそれは元気な子だった。やっと会えたね、よく頑張ったね、ありがとう、ありがとう…いろんな想いで胸がいっぱいになって、また涙が出た。
3070g、49cmの男の子。38週で生まれた割にはしっかりと大きかった。
旦那にへその緒を切ってもらって、写真もいっぱい撮ってもらって、パパもしっかり出産を一緒に乗り越えたね。家族三人で頑張ったよね。本当に無事に生まれてきてくれて良かった。

そんな我が子ももう8ヶ月。お腹にいるんだ！とわかった時からお腹の中で大事に育ててきたのと同じくらいの時間が過ぎた。お腹の中で育っていく我が子を感じてる時間も幸せだったけど、こうして生まれてきて、目に見えて日に日に成長していく姿、いろんな表情を見るのは、この上ない幸せだなと実感しています。