わかりもんさん
最新の記録ノート
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09年08月31日(月)
●[休]本の虫/風の街/静かすぎる夜 |
< ○世の中は選挙一色...
| 牛乳から学ぶ、人生... >
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Efさんは お勉強のため、 僕は 活字中毒の禁断症状のため (^_^;) 朝からふたりで図書館へ。
あいまに南極の写真集やクレーの天使の絵を眺めながら、 僕はひとまず新書2冊を読了。
1冊目、小谷野敦『バカのための読書術』(ちくま新書)。 同じ著者の『もてない男』が話題になっていましたが、さすがに隣に女の子がいる状態で読むのは憚られる気がして、今日はこちらです。結論から言うと、読後感は良くないです。それはなにより、著者が「人はなぜ本なんてものを読むのか」っていう肝心なコトを突きつめることなしに、読書術を書いている気がするから。中途半端な教養主義。インテリをバカにするインテリ。そんな「突き抜けてない」感触が最後まで抜けません。そのくせ妙にアイロニカルなところ、威勢がいいところが悲惨にも思えます。「知識人をバカにする奴のことを、知識人という」――むかし柄谷行人がそんなことを言っていましたが、この著者、これに返す言葉はあるのかな? どうもこの本、「バカのための」というスタンスが全てになってしまってます。「わかりたい あなたのための」と同じです。つまり、自分が勝手に見下しているものに、勝手におもねっている感じ。「歴史」なんて、結局こういう人たちのためのオモチャでしかないのかな? なんか悲しくなってきた。コレに比べると、たぶんにヤクザな匂いはするものの、「人を悲しませないような哲学に何の価値がある?」「本など、読む奴の勝手で使えばいい」と言いきったドゥルーズのほうが僕は好きです。というか、元気がでます。
2冊目、磯村 健太郎 『<スピリチュアル>はなぜ流行るのか』(PHP新書) 対して、こちらは「アタリ」でした。江原啓之ブーム等のルポタージュかと思いきや、著者の視野はもっと広く、時代の空気全体を射程におさめています。曰く《スピリチュアル/スピリチュアリティを通じて、「わたしたちはどのような時代に、どのように生きようとしているのか」を問いなおしてみたい。次の目次にあるように、ヒット曲やベストセラー、ブログなど身近な社会現象も素材にした》。《社会現象の表面だけをなぞるつもりはない。歴史という縦軸とグローバル化という横軸をもちいた見取り図を描くのが、この本のもう一つのねらいである》。ところで、こうした現在の「グローバル化」が「インターネット、電子メール、ケータイなどの電子空間」に媒介されたものであること、この点はきわめて重要です。著者は「スピリチュアルな感覚」は《なんらかの超越的な存在×つながる感覚》から成ると分析していますが、全体を見渡すことができないネットの空間は、まさにその二つの感覚を無意識に与えつづける空間です。サイバーパンクが、インターネット普及以前の時代から描いてきたテーマ。《固く結ぶ「絆」から自分でスイッチをON/OFFできる「つながり」へ》。《いま、わたしたちはかぎりなくバラバラになろうとしている。だが、なにか一つのものがバラバラの個をやわらかくつなぐとき、人と人のあいだに立ち現れるものがある。それを「共同性」と呼ぶ。「共同体」より「共同性」が選ばれる時代への変容だ。そこにこそ、スピリチュアルなわたしたちを育てる土壌がある》。ここには、それ自体として驚くべき結論はありません。しかし、現代の諸現象とそれを貫く空気を「スピリチュアル」という一言で裁断した手際は、見事というほかありません。これからくりかえし立ち返る本の一つになりそうです。なお余談ながら、たとえば、こうした新しい「共同性」について具体的に考えるためにこそ、(『バカのための』が「読むべきでない本」としてあげている)ブランショやポスト構造主義者たちの思索は「読むべきもの」なのだと思います。いや、ほんまに。
なんてことを思いながら、書架のあいだを放浪していたら、いいもの見つけました。 佐々木中『夜戦と永遠』。副題には「フーコー・ラカン・ルシャンドル」とあります。 とにかく、分厚い! しかも、アツい! 略歴をみるかぎり、この本が1冊目の著作でしょうか? 時々気負いすぎてるトコロはあるものの、いい意味で文章に若さがあります。 なかなか一息では読みきれない内容。読みきるのが勿体ない感じ。 ちゃんとした感想はそのうち、ぼちぼち、書きます。書くかも。書けるといいな。
と、今日は、ほとんど「本の虫」の話になってしまいましたが・・・
お昼は、Efさん情報で「きょうや」ってお蕎麦屋さんへ。美味しかったです。 夜は「風の街」で、久しぶりに、お好み焼き。これまた美味しかったです。 車のなかで、ひとしきりお喋りしたあと、帰宅の途につきました。
一日中静かな図書館にいたはずなのに、 部屋に一人でいると、妙に「静かすぎる」感じです。
ひさしぶりに、安吾の短編でも読みたくなって、頁を広げつつ眠りに落ちました。
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