いわんさん
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1958年生(男性) 福岡県 |
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08年06月10日(火)
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マラソン記後編
第1の難関24.4kmを通過、両足の筋肉ダメージは想像以上に大きく力が入らない。コース縦断図では30kmポイントまでは緩い下り坂のはずなのに下っている感覚は全くない。この間の景色は記憶に残っていない。
30kmポイントから再びだらだらと上り坂が始まると睡魔が襲ってくる。寝不足とスタミナ切れが重なると現れる症状で、30kmポイントでこの様では完走はおぼつかない。頭を振ったり顔面に力を入れて充血させたりしても眠気は取れず、次の給水場所でボランティアの小さな男の子に頭から氷水をぶっ掛けてもらう。スタミナ補充におにぎりとバナナをほおばる。
後続にどんどん抜かれながらようやく最高標高点(900m)の40kmポイントを通過、42.195kmポイントあたりで自分は上りには弱いが下りには比較的強いんだということに気が付き、少しペースを上げてリズムを取り戻す。
参加者は全員小さなプラスチック製の「チップ」を渡され靴紐に装着している。50kmポイントを通過するとビービーと路傍の計測器が反応して通過タイムを記録する。初体験なので大したものだと感心する。そこからやりすぎだろというくらいスピードを上げて50.8kmポイントの大休憩所へなだれ込む。
50m手前でゼッケンナンバーがハンドマイクで読み上げられ、休憩所につくと同時にボランティアの中学生があらかじめ預けておいたランドリーバッグを持ってきてくれる。手際の良さにまた感心する。準備しておいたマメ・靴擦れ対策グッズは無用だった。今思えば一緒に入れていたカロリーメイトを摂取しておけばよかった。
5km毎のエイドステーションには水、水割りのポカリスウェット、オレンジ、バナナ、おにぎり、パンなどが標準準備してあるが甘いものがあまりない。パンは苦手なアンパンなので食べず、小さなチューブ入りの半固形蜂蜜を見つけ、素朴ながらこれがとてもうまい。ストレッチをしようとしたら足が痛く、屈伸も開脚もできない。それじゃガードレールを使ってと思ったら両手で足を持ち上げないとガードレールに足を掛けられない。
10分ほどの休憩後、重い足取りで再スタート。タイムは度外視でとにかくこれ以上筋肉を傷めないよう無難にゴールできればいいと思って走り出すとこれがドツボ。距離がちっとも進まない。この憂鬱なランニングがあと5時間も6時間も続くと考えただけで滅入ってしまう。55kmポイントまでが恐ろしく長く感じられた。
本当はイーブンペースできちんと走るのが最も理にかなった走りなのだが、こらえ性のない私には我慢できない。守りの部分もあっていいが、攻めに転じる部分もないとまどろっこしさに耐え切れない。そこで下りに入ってちょっとしたきっかけで少しペースを上げ、痛みが痙攣に変わってきた足をなだめて65kmポイントまでたどりつく。最後まで足が持たないかも知れない、一か八かの作戦。このほうが性に合っている。
65kmポイントから緩い上り坂が始まるとペースダウン、再び睡魔が襲ってくる。走っていても目はふさがってきて、「決して歩かない」という自分の決め事を破って坂道を歩き出すと半分眠ってしまい、よたって倒れそうになる。よっぽど路傍でしばらく眠ろうかと思ったが、回りに心配掛けるのも嫌なので何とかこらえる。エイドステーションでは氷水を何度も首筋から背中に流す。
75kmポイントまでたどりつくのにずいぶん時間をくった。抜きつ抜かれつしていた30歳くらいの麗しき女性が声を掛けてきてくれた。スポーツには縁遠い感じのか細い女性で「死ぬまでに1回は挑戦してみたかった」と話す。言葉の裏の意味は聞かず「ゴールで待つかみさんには10時間から11時間の間でゴールすると宣言していたのに、この分では12時間かかりそう、まずいなあ」などと言葉を交わす。
元気をもらって下り、上りを経て草千里のような牧場を突っ切って苦しみながらも85kmポイント到達。スイカと好物の冷奴と一杯のビールにむしゃぶりつく。終盤は渇きや飢えに関係なく5km毎のエードステーションはもちろん、2.5km毎の給水所全てで何かを口にする。何かにすがらないと持たない気分。エアーサロンパスも思い切り足に吹き掛ける。
88kmポイントに来るといよいよ外輪山から裾野の火口原まで一気に300m下る。火口丘である阿蘇五岳を取り囲むカルデラ地形、数十万年前の火山活動が手に取るように分かる大パノラマ。立ち止まって眺めたいところだが横目に見ながらつづら坂を下りに入る。今の自分には下りしか取り得がない。痛みで歩いて下る人もいる中、私は太ももが無感覚になるのを感じながらここぞとばかりに10人、20人と抜いていく。
下り終わったあと地獄の8km。牧歌的な田園地帯の中を走っても走っても距離が減らない。あと3kmと思ったらまだ5km、あと1kmと思ったらまだ2km。「あと何km」とカウントダウンするのは苦しくなるばかりだからやらないと決めていたが、どうにもコントロールできない。
さっきの下りで抜いた人数分くらい抜き返され、漸く阿蘇市総合センターが見えてきて、両手を挙げて白いゴールテープをきる。11時間を切れず11:24:56かかったが、かみさんは待っていてくれた。数字の語呂も末広がりでまずは完走できてよかった。
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| 【記録グラフ】 |
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