「太りやすい度チェック」解説コラム◆はじめに
よく「私は太りやすいの」という人を見かけますが、実に日本人の約9割が「自分は太りやすいと思いますか?」という質問に対して「そう思う」と答えるそうです。最近は「肥満遺伝子」に注目が集まり、遺伝子型ダイエットなるものも登場しています。
しかし肥満の原因として遺伝子が関係する要因は約3割。残りの7割は生活習慣や環境などによる後天的なものが要因です。「親が太っているから自分も太るのは仕方がない」というのは少々おおざっぱすぎ。生活習慣さえきちんと注意していれば、いくら肥満遺伝子を抱えているからと言っても「必ず太る」わけではないのです。 まずは自分の生活習慣を見直し、自分を「太りやすくしている原因」を発見しましょう。そしてそれを改善することによって「太りにくいカラダ作り」をしていきましょう。 ◆原因1:親からの遺伝
よく「親が太っているせいで自分も太っている」と思っている人がいますが、それは言い過ぎです。確かに「太りやすい体質」を親から遺伝しているかも知れませんが、それはあくまで体質であって、肥満体型そのものを遺伝しているわけではないのです。
両親が肥満体重の場合、子が太る確率は80%以上と言われています。母親だけが肥満の場合は70%、父親だけが肥満の場合は30%、両親共に正常体重の場合は10%。 しかしこれは「遺伝的要因だけでの確率」ではありません。肥満の親の生活習慣と同じ生活を送っていると子も肥満になりやすい、という「環境的要因」が7割を占めると言われています。 父親が肥満の場合より、母親が肥満の場合の方が圧倒的に子の肥満率が高いことから見てもわかりますよね。つまり同じものを食べ、同じ生活リズム、習慣を送っているからこそ、同じように肥満になるのであって、決して遺伝的な問題だけではないということです。 親のせいにせず、自分で自分の生活を見直し、改善していくことができるのです。諦める必要もありません。自分の努力だけでどうにかできる問題です。 ◆原因2:肥満遺伝子
最近の研究によって人間は約40種類の肥満遺伝子を持っていることがわかってきました。ただ肥満遺伝子は誰にでもあるものです。しかし、この中で先天的な遺伝子変異が見られた場合、それが結果として「太りやすい体質」を生み出す原因になる、ということです。
日本人の場合、“β3アドレナリン受容体”遺伝子に変異が見られる人が多く、その割合は3人に1人と言われています。この“β3アドレナリン受容体”遺伝子は体脂肪の蓄積を抑え、脂肪を燃焼させる働きをつなぐ役割を持っていますが、変異することで脂肪燃焼の効率を下げてしまいます。そのため「太りやすく、痩せにくい体質」を作り出す要因となります。 しかし、これは1日のカロリー消費量にすれば200kcalほど。つまりお茶碗1杯分のご飯を人より多く食べている、ということです。逆に言えば、1日200kcalほど食べる量を抑えるか、200kcal分多くカロリーを消費すれば肥満の要因にはならないのです。 もうひとつ日本人に多い変異が見られる肥満遺伝子は”ob遺伝子” です。これは食欲をコントロールする物質を作り出す遺伝子です。これに変異が見られることによって「食べても食べても満腹にならない」という現象が起こります。過食が原因で太ってしまう人は”ob遺伝子” の変異が原因かも知れません。 心当たりのある人は、やはり1回に食べる量をあらかじめきちんと決め、それ以上は食べないように強い意志を持つことです。特にだらだらと1日中食べることで、先天的な遺伝子要因だけではなく、後天的に太りやすい体質を作る原因となってしまうので、絶対に避けるようにしましょう。食事の時間と量をきちんと決めて守る。それが大切です。 ◆原因3:太りやすい食習慣
太る理由はひとつ、消費カロリー<摂取カロリーとなるためです。たくさん食べればその分太るのは当然のことです。
しかし量だけでなく、食べ方や頻度、時間など「食習慣」によって太りやすくなるかどうかの分かれ目があります。 まず食事のスピード。早食いをする人は太りやすいのです。 人間は食事をすると、脳の視床下部にある満腹中枢から「お腹がいっぱいだ」という信号が大脳へ送られてきます。そこで初めて満腹を感じ、満たされるのですが、早食いだと、満腹信号が脳に送られるまでに食べ過ぎてしまうのです。通常、食べ始めてから約20分後に満腹中枢からの信号が送られるため、食事を20 分以内で終えてしまう人は要注意です。十分な量を食べていても、お腹がいっぱいになっていることに気づかずに食べ続けてしまうのです。 食事はよく噛みながら、ゆっくり時間をかけて食べるようにしましょう。食事時間は最低でも30分が目安です。早食いだと思う人はゆっくり食べるようにするだけでも食事の量を減らせるようになるでしょう。それでもしっかり「お腹いっぱい」は味わえるので辛いことは何もありません。 次に食事時間が不規則な人も要注意。特に朝ご飯を食べないのはよくありません。 朝ご飯を食べずに1日の活動を始めてしまうと、次に食事をした時にドカ食いをしてしまうことが多々あります。それだけでなく、しばらく空腹のままカロリーを消費すると、脳は「次にいつ食べられるかわからない」という危機感を持ち、できるだけカロリーを消費しないように防御します。 また長時間なにも食べていないと、次に食べたものを急速に吸収しようとする作用も働きます。そのため必要以上にカロリーを吸収してしまうことにもなります。 こうしたカラダが持つ防衛本能により、脂肪の代謝が悪くなり、「痩せにくい体質」になってしまうのです。 これも食事を規則正しく取ることによって解決することができます。特に朝ご飯を食べない人は少しでも何か食べるようにすることで、徐々に代謝が上がってきます。朝食べると1日中お腹がよく減る、という人も多いと思いますが、それが本来あるべき代謝です。いくらよくお腹が減ったとしても、正しく効率の良い代謝にすることで、結果的には太りにくいカラダを作ることができます。 もう1点は寝る前2時間は何も食べないこと。お腹が減ってもそのまま我慢して寝てしまうのがベストですが、どうしてもお腹が減った時はお茶や牛乳などを飲む程度にしましょう。 夜は体はしっかり休んで、翌日のエネルギーを蓄えようとします。そのため寝ている間はとても脂肪の合成が盛んになるのです。そのため、寝る前に何かを食べると、それはそのまま脂肪となって蓄積されてしまうのです。 夜更かししてダラダラ何かを食べてしまっている人は、それをやめるだけで太りやすいカラダから随分と脱却できるはずです。また夜食べるのをやめると、朝は胃が空っぽになるので、朝ご飯もしっかり食べることができて一石二鳥です。 食生活に問題がありそうな人は、まずいつ何を食べたのかを毎日記録してみるといいでしょう。食事の時間や頻度、食べているものを把握することで、改善すべきポイントが見えてきます。まずは自分の食生活を自覚することが大切です。 ◆原因4:基礎代謝の低下
1日に何もしなくても消費するカロリーを「基礎代謝」といいますね。この基礎代謝は基本的には筋肉量によって変動します。筋肉がしっかりある人は何もしなくても基礎代謝が高いため、太りにくいのです。逆に筋肉があまりない人は基礎代謝も低いと言えます。 基礎代謝は25歳を超えた頃から悪くなっていきます。昔は食べても太らなかった人でも、この頃は生活は変わっていないのになぜか太ってきた、という人は基礎代謝が低下していることが原因だと考えられます。 体重的には太っていないのに体脂肪率がやけに多い、という人も要注意です。明らかに「隠れ肥満」ですが、脂肪が多く筋肉が少ない人は、歳を重ねるごとに基礎代謝が低下し、どんどん太りやすくなってしまいます。 脂肪を燃焼させるにはウォーキングや水泳などの有酸素運動が重要ですが、筋肉を増やすためには少々ハードなスポーツなどの無酸素運動が必要です。 特に筋肉量が少ないというわけでもない人は、できるだけ歩くようにするとか、ちょっとしたことを面倒がらずにカラダを動かすとか、日々の心がけで脂肪燃焼をすることができます。しかしながら筋肉量が少ない人は、やはりある程度の筋力トレーニングをした方が良いでしょう。 簡単なもので良いのでエクササイズやストレッチ、ヨガやピラティスなども良いでしょう。そうしたトレーニングを毎日10分でも実行することが大切です。まだ若い人はあまり実感がないかも知れませんが、20代後半〜30代前半くらいから「あれ?どうして太ったんだろう?」と思うようなことが増えてくるでしょう。 人は加齢には勝てません。だからこそ、努力や心がけで補っていくようにしましょう。 もちろん健康維持のためにはウォーキングなどの有酸素運動は非常に大切です。健康のために、できるだけカラダを動かすことに積極的になりましょう。 この診断チェックにもトライ! - 関連診断-
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