「突然死危険度チェック」解説コラム◆はじめに
何の前兆もなく働き盛りの人をその名の通り突然襲う「突然死」。
突然死とは疾病名ではなく、「予期していない突然の病死」のことで、別名、急死です。医学的にも“発症から死亡までの時間が24時間以内”と定義されています。 突然死には死に至るさまざまな疾病が起因していますが、中でもやはり一番多いのが心臓に起因する「心臓突然死」です。今や年間約5万人以上が心臓突然死で命を失っています。これは交通事故死の約8倍にもなります。 そこで本コラムでは、突然死の中でも「心臓」に着目してお話ししていくことにしましょう。 突然死は若くして起こるケースも多く、本人はもちろん、家族や周囲の人も、突然起こったあまりの悲劇に言葉を失い、大きな悲しみを与えてしまうものです。大切な人を悲しませないためにも、そして悔いの残る最期を迎えないためにも、他人事として捉えず、その原因を知り、毎日の生活習慣に活かすように日々心がけていきましょう。 ◆突然死と関係が深い主な心臓疾患
まずは突然死につながる主な心臓疾患を知っておきましょう。
・心筋梗塞 心臓突然死の中でも最も多い。狭くなった冠動脈の内側に血栓ができ、血液が送られなくなり、心臓の筋肉の一部が死んでしまう状態。 ・狭心症 心臓の冠状動脈に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなったり、一時的に流れが止まってしまう状態。 ・不整脈 ドキドキ動悸がしたり、脈拍が異常に遅かったり、逆に速すぎたり、または飛んだり、不規則になったりしている状態 ・弁膜症 心臓の心房・心室にある通常一方方向のみにしか開かない弁に異常がおこり血液の流れがおかしくなる状態。 ・心不全 病名ではなく、心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態。 ◆ お風呂が与える負担と改善策
日常生活で意外と心臓に負担をかけているのがお風呂です。私たち日本人は特にお風呂が大好きな人種ですよね。もちろんお風呂でしっかりカラダを温めることは、健康にとっても良い効果をもたらしてくれていることがあります。しかし、その入り方を間違うと、逆に心臓に負担を与える要因にもなりかねません。
寒い冬の夜、熱い湯舟に浸って冷え切った身体を温める人は多いと思います。しかしこの入浴法が、実は心臓に与える負担が大きく、特に中高年にとっては「危険」とさえ言えるのです。 寒い場所で衣服を脱ぎ、「ゾクゾクッ」と身震いした経験をした事がありますよね。あれは急激に体温が下がる状態を正すため、血管が収縮して起こるものです。 このような状態の後にすぐ、42〜43度といった熱めのお湯に入ると、血管が急に拡張し始め、勢い良く全身に血液が循環し始め、心臓に過度な負担をかけてしまいます。 ○お風呂に入るときに気をつけること まず、湯舟にお湯をためるときは蛇口から入れるより、シャワーを使うほうがよいでしょう。シャワーのしぶきで浴室全体を暖めることができ、気温差をやわらげることができます。 そして、湯船に入るときには、必ずぬる目のお湯でかかり湯をするようにしましょう。湯船のお湯をそのまま浴びると熱いので、ぬる目のシャワーが良いでしょう。 かかり湯で徐々に体を温めて、しっかりカラダを温度にならしたら、おおよそ40℃くらいの湯舟に肩を少し出した状態で、ゆっくりと浸かることを心がけましょう。 深い湯船に浸かると、その分、心臓に水圧がかかり、これも心臓に負担をかける要因になります。お湯はいっぱいいっぱいまで入れず、浅くてぬる目のお湯にゆっくり時間をかけて入るのがオススメです。 ◆ 運動不足が与える負担と改善策
心臓は、当然のことながら、安静にしているときでも全身に血液を送り出す活動をしていて、その活動量はカラダの運動量に応じて大きくなったり小さくなったりします。
カラダは運動すると普段より多くの酸素を必要とします。これに対して心臓は拍出量を増加させ、多量の血液を送り出して全身に酸素を運びます。毎日しっかり運動をしている人であれば、心臓はゆとりを持ってそれに対応ができます。 ところが、日頃からあまり運動をしていない人の場合は、体力・筋力だけでなく、心臓のポンプ機能も低下してしまっています。そのため、急に運動を始めた場合、カラダが必要とする酸素を全身に運ぶために多量の血液を送り出そうと無理をします。 ちょうど運動不足の人が急に運動して肉離れを起こしたり、ぎっくり腰になったりするのと同じで、普段から使っていない運動量を急に求めても、カラダはそれに対応しきれなくなっています。心臓も同じで、運動不足が続いている中で急激に運動をすることで、心臓に重い負担をかけてしまいます。 ○運動をするときに気をつけること 当然のことながら、普段から運動不足な人は、運動しない方が良いということではありません。そのまま運動不足が続くと、ますます心臓の機能は低下していく一方です。少しずつ運動を強めて、徐々に適度な負荷をかけていくことで、心臓の機能はちゃんと強化されていきます。 今、運動不足な人は、急に激しい運動をするよりも、カラダに余裕を持たせて運動ができるものからはじめましょう。ゆったりと軽く走るジョギングやマイペースの遊泳、簡単な体操やストレッチなど、常に余裕を残しながら行える有酸素運動が良いでしょう。まずは3〜40分くらい連続して歩くことから始めるのも良いでしょう。 全身の大きな関節をリズミカルに動かし、ゆったりと長時間続けられるような有酸素運動は、心臓や血管に無理のない適度な負担をかけ、心臓の機能を高めてくれます。 ◆ 食事が与える負担と改善策
元来、日本食というのは野菜や海鮮が中心で、栄養バランスが良く、世界的にもかなり健康的な食生活として注目されてきました。しかしながら、戦後から日本の食生活は大きく変わり、ファーストフードやコンビニ弁当などの外食だけではなく、家庭にまでも「食の欧米化」は進出しています。
これらは高カロリー、高脂肪食(特に動物性脂肪)の代表で、肥満を促進させるだけでなく、突然死の原因となりうる高脂血症や動脈硬化を促進させる原因となります。 しかも、これらの料理は味が濃く、食べやすいことなどからも、子どもが好んで食べるため、子どもの健康にも大きな影響を与えています。幼い頃から食生活が歪み始めていることで、生活習慣病の低年齢化が問題視されるようにもなってきました。ジャンクフードが進んでしまったアメリカでは、子どもへのジャンクフードに法令で規制をかける動きも出始めているほどです。 日本食の弱点と言われているのが塩分の取りすぎです。もともと塩分量が多い日本食に加え、保存食やインスタント食品に多用されているため、ますます塩分過多が問題になっています。塩分過多は高血圧を引き起こす要因になるとされ、さらに心臓への悪影響が心配されます。 ○食生活で気をつけること 食事の基本は、毎日同じ時間に栄養バランスのとれた食事をすることです。 食生活の中でも特に注意したいのが、糖質や脂質のとりすぎです。肉料理中心のメニューはなるべく避けて、魚や野菜、キノコ類、海藻類などを中心にした食事をとるようにしましょう。 体調を整える上で欠かせないビタミンやミネラルは必須です。食物繊維も、腸からの糖質の吸収を緩やかにしたり、脂肪の吸収を阻害する働きをしてくれる重要な存在です。こうした栄養素をバランスよく摂るように意識しましょう。 そして、塩分の取りすぎにも注意しましょう。1日の摂っても良い塩分量は10〜15gですが、日本人は20g近くの塩分を毎日摂取していると言われています。ちょっと注意してみると、意外に塩味のものを食べていることに気が付くはずです。気づけば控えられるもの。毎日の心がけが大切です。 ◆ ストレスが与える負担と改善策
世界的な研究で明らかになったことですが、心筋梗塞や脳卒中等による突然死が最も多いのが「月曜日の朝」です。世界的に月曜日は“仕事始め”であることから、仕事に対するストレスが突然死を引き起こすひとつの要因になっていると指摘されています。世界的に同じ研究結果が出ているなんて、興味深くもあり、また恐ろしい事実ですよね。
現代社会は、ストレス社会だといわれています。精神的緊張、不安が慢性化すると、これが心臓に過度の負荷をかける原因になってしまいます。 ストレスが加わることで、脈が速くなったり、血圧が上昇し、脳への刺激が神経を伝わって心臓に働きかけ、脈拍数を増やしたり、血管に作用して血管を収縮させたりします。 実際に湾岸戦争や阪神大震災の時に心筋梗塞などの患者が増えたと報告されています。特にもともと冠状動脈硬化症のような心臓病をもっている人がストレスを受けると、脈が増え、血圧が急上昇し、心臓の酸素必要量が増加します。しかし、血液の供給が追いつかず、心臓の一部が酸素不足になってしまい、狭心症発作(胸痛)や心筋梗塞を引き起こしてしまうのです。 ○ストレスと上手に付き合うこと 基本はうまく気分転換すること。イヤなことはしない。無理はしない。自分なりの方法でというのが原則です。そして、長期間ストレスを溜めず、ストレスを感じたらすぐに発散するようにすることが大切です。 大切なのは「ストレスを感じないようにすること」ではなく「ストレスを溜め込まないようにすること、すぐに解消すること」です。 カラオケやスポーツ、友達と会う、ショッピング、アロマテラピーや、ゆっくり休む…何でもいいんです。自分に合った方法であれば。あぁすっきりした!と思える方法を探しましょう。 ◆ 喫煙が与える負担と改善策
タバコがカラダに良くないことは言うまでもありませんが、その中でも心臓に与える負担を改めて考えてみましょう。 タバコを吸うと体内で、酸素と血中のヘモグロビンが結合し赤血球の酸素運搬量を低下させます。このような状態になると、カラダは反射的に心拍数などを増やして体内に酸素を送り出そうとします。このような状態が続く事で心臓に大きな負担を与えてしまいます。 タバコと聞くと肺がんをイメージする人が多いと思いますが、タバコはもちろん心臓にも悪影響を与えます。1日1箱くらい喫煙している人は、非喫煙者より狭心症・心筋梗塞などの罹患率が約2倍になり、2箱以上になると約5倍になると言われています。 最近は、世界保健機構(WHO)でも大きく捉えられており「喫煙は予防しうる現代最大の疫病」と位置づけられています。 喫煙の改善策は何と言っても禁煙しかありません。カラダを思えばこそ、大切な人を思えばこその選択です。本数を減らすことで多少はリスクが軽減されますが、それでも吸うか吸わないかの差は非常に多いものです。 ここらでグッと決意してみてはいかがでしょうか。突然死…決して他人事ではありません。 この診断チェックにもトライ! - 関連診断-
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