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09年07月10日(金)
携帯電話 |
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< 竹作品 2
| 読書 >
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【今日のできごと】
【今日の感想】 森鴎外の「うたかたの記」は、少女とのはかない恋を描いている。少女は湖で死ぬ。遺体が引き揚げられたとき、芦辺から蛍があらわれた。 <あはれ、こは少女が魂の抜け出でたるにはあらずや> 亡き人の霊のように、光り、舞う。蛍の季節になると思い出す光景がある。4年前の4月、JR福知山線で乗客106人が死亡した脱線事故の記事である。救助隊が社内に入ったとき、折り重なる遺体のそばには携帯電話が散乱していた。暗がりのあちらこちらで光り、呼び出し音が鳴る。切れても、すぐにまた光る。ニュースで事故を知った家族が一刻も早く無事な声を聞きたくて、祈るように電話をかけ続けていたのだろう。当時、安全対策の責任者だったJR西日本の社長が一昨日、業務上過失致死傷罪で在宅起訴された。社長は法廷で争う意向という。いかなる裁きになるとしても、安全の徹底が何よりの供養であることに変わりはない。 「あっちの水は苦いぞ。こっちの水は甘いぞ」とは国文学者の中西進さんによれば、あの世からこの世へ魂を呼び寄せる歌だという。 車内に明滅した携帯電話の蛍が眼裏に浮かぶ。 7月10日付け 読売新聞より
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