次男(眉太)さん
最新の記録ノート
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07年05月15日(火)
ちゃんこ。 |
< 京の楽しみかた。
| ジャギ。 >
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あるところに男がいた。
彼は天然パーマであり、しかも禿げていたので、仲間内からは「天然パーゲ」と呼ばれていた。
あるところに女がいた。
彼女は太っている上にゴブリンのような醜い顔であったため、「デブリン」と呼ばれていた。
二人とも人が嫌いだった。
目が合うとみな怯えた顔をする。
二人は自分の存在を呪っていた。
そんな二人は夏祭りで初めて出会った。
彼は、彼女を始めてみたとき彼女は金魚を持って歩いていた。
しかし、彼にはその金魚が彼女の餌にしか見えなかった。
「あの醜い顔で生きたまま食べるんだろうな…」彼は無意識にそう思っていた。
彼女は、彼を始めて見たとき彼は綿菓子を食べていた。
しかし、彼女は彼の頭の綿菓子にしか目が行かず、彼が綿菓子を食べていることにはまったく気づかなかった。
「あの人、きっと生まれたときからボンバヘッドなんだわ…」彼女はぽつりとそうつぶやいた。
そんな二人が。
古ぼけた自販機の前で出会ったのは必然であったのかもしれない。
(中略)
彼女は悪口を言われなれているので怒ることはなかったが、なぜか目の前のこの男の言葉に激しい怒りを覚えた。
(禿げたちりちりパーマのくせに!)
そして彼女は言った。
「あなたのその頭。鳥の巣が風化したみたいなその頭。いっそ全て禿げてしまったほうが幾分かましじゃないの?」
彼は怒った。
これは天然パーマではなくてくせ毛だと、
そして、禿げではなくて髪の毛が細くなってきたのだと彼女に必死に説明した。
彼は怒りのあまり彼女に言ってしまった。
「君こそそんな恐ろしい顔の上に、デブなんて。」
「君は、両親は健在だって言うけど、ホントは君が食べてしまったんじゃないのか?」
「それでそんなに太ったんだろ?」
彼女は泣いた。
そして、汗を拭きながら、彼に突進した。
きっと、男に生まれたら横綱になっていたであろう、その彼女の突進を受けるたびに、彼の頭からちじれた毛がはらりはらりと落ちていくのであった。
どれくらいの時間がたったであろう。
彼も彼女ももうどうでもよくなっていた。
人間に生まれた不憫さを痛いほど二人は分かり合っていたのだ。
ある意味でお互いの気持ちがこれ以上分かり合える相手もいないだろう。
彼は言った。
「僕の天然パーマと禿げ、そして君のその醜い顔と太った体…」
「これを全部受け継いだ子供をつくろうよ…」
「きっと世界に復讐してくれるよ…」
彼女は無言でうなずいた。
でも。
桃太郎が生まれましたとさ。
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