maruomaruさん
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09年05月31日(日)
南京!南京! |
< そりゃあないよって...
| やんちゃは男のミエ... >
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遂に違法DVD屋に入荷、昨夜ツレアイと肩を並べて観ました。 テレビの前で襟を正し、正座して観ました。ウソです。体育座りで観ました。
感想。
予想外だったのですが、実際ほどには残虐シーンが描かれていませんでした。 それは日本人に対する配慮というよりも、中国人にとって辛すぎて未だ直視できない部分である からではないかと私は感じました。 日本兵は膨大な数の兵士、市民を虐殺していくわけですが、そのシーンも機関銃や銃を使った やり方が多く、「弾が勿体無い」などと抜かして恐らく銃剣で刺殺した実際とは異なるように思います。 勿論、映画の中に全てを書き出す事は不可能ですが、写真に残るようなおぞましい仕打ちをそのまま 表現するのは避けてるように思えました。実際の有様はとても直視できるようなものではないですからね。
「南京!南京!」はこれまで量産されてきた中国目線の戦争映画(いわゆる抗日映画)と大きく異なり、 加害者側の日本人の目線でも描かれており、それは従軍慰安婦に不幸な日本人女性百合子を配したことからも伺えます。 若い日本兵達が任務の合間に故郷の踊りを披露して仲間を笑わせたり、流行歌を歌って 和気あいあいと過ごしたり、背中を洗い合ったりするシーンも素晴らしくリアルに描かれ、 彼らが鬼ではなく血の通った普通の若者であることを強調しています。ああいう資料はどこから入手したのだろう?
さて、物語は殺戮から南京人を救おうと難民区を設立して奔走したドイツ人ジョン・ラーベとの攻防に移り、 やがてラーベを南京から追い出して終焉に向かいますが、最後に主人公である若い日本兵角川が 自分達のしてきたこと、目の前に広がる地獄に絶望して自殺を遂げます。 角川が最後に助けた兵士と子供が美しい平原を歩いていき、そこに「逞しく生き抜く」とか「未来」などの 希望を見出す仕組みになってジ・エンド。 ・・・が!しかし、しかーし!ここでとっても残念に思えたことがあります。 残念どころか、この映画の致命傷とも思えるのですが、それはこの角川の苦悩や心の移ろいが殆ど 表現されていない点です。突然死ぬからビックリしました。 彼の苦悩は死ぬ直前に言う「生きてるのと死ぬのはどちらが辛いのかな」という台詞で初めて明かされます。 ・・・いや、そうじゃなくってプロセス、プロセス。プロセス大事にしよう。 そこは最も神経を配って丁寧に描かなくてはいけない部分だったと思います。 心の動きを台詞や行動で表現する場面が一つもないので、これは役者が未熟というのではなく脚本の問題? んー、私が鈍感なのか、分からなかったぞ。 心の移ろいを丁寧にリアルに描いた作品では、別監督ですが、香川照之出演の「鬼が来た」など秀逸だったのですが。
また、映画のクライマックスに日本兵達が英霊を慰めるとかで祭りをします。 ドジョウ掬いと阿波踊りを合体させたようなへんてこりんな踊りで兵士が南京の街をズイズイ練り歩くのですが、 あのシーンは必要だったのかな?リアルな歴史映画が急に前衛芸術みたいになってしまって残念。
そんなわけで、映画の完成度については絶賛はできませんが、南京を日本人の目線からも描いた映画と言う点で この映画は画期的ですし、戦争という異常事態下に於ける人間の狂気、人間の本質の恐ろしさなどを 伝える意味深い映画だと思いました。
世界中の戦争映画を撮る人達の伝えたい事はただ一つ。 戦争とは、それに関わる全ての人間の運命を狂わせ不幸にするということ。恨み以外の何も生まないこと。 何かを生み出すとしたら、それは激烈な後悔と反省の後に生まれる二度と繰り返さないという誓いです。 そうなって初めて絶望は希望に転換される。 常に思っている事ではありますが、日本が戦争という大きな過ちを二度と二度と繰り返さないようにするのが、 今を生きる私達の責任であり使命であると思いました。
さて、次はジョン・ラーベを観なくちゃ。こっちには香川照之氏が出演です。
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